マクベス

『マクベス』シェイクスピア (著), 木下 順二 (著)

書評
執筆責任者:Yujin
『マクベス』は名劇作家シェイクスピアの四大悲劇に数えられる戯曲である。スコットランド軍の勇将マクベスが、妻と謀ってダンカン王を殺害し王位に就くものの、自身の小心さゆえに重圧に耐え切れず悪政を敷き、反感を買った貴族や王の息子たちに復讐され斃れる、という物語である。言わずと知れた名作でありながらこれまで読んだことがなかったのだが、先日書評にした野口悠紀雄氏の『だから古典は面白い』にてオススメされていたため、興味を持って読んだ次第である。浅学ながら、野口氏のように何かこの古典作品から学ぼうという気持ちで読み進めたのだが…どうも自分には古典から学ぶためにそもそも必要な素養が欠けていると実感した。詩的な表現の読解ができないのだ。比喩に弱いというか。例えば、第五幕第五場にて、敵軍が眼前に迫り覚悟が決まった(ように見える)マクベスが、妻の訃報を聞いた後動揺せずに言った詩的な長いセリフがある。死の予感が高まり何かを悟ったのだろうか、人生(死が訪れる瞬間以前の時間)なんてものに意味はない、「影法師の歩み」に過ぎないと言っている。影法師の歩みが何を喩えているのかわからず、「影法師」と検索をかけたりしたのだが既知の意味しか出て来ず、やはりよくわからない。実質(実体)がないことを示しているのか?などと考えてみたが納得のいく正解が見つからない。これは「影法師」がどんなものか、何を喩えるのに使えるのかを普段から考えていないことが原因だと思う。悪魔の会話なんかは常に意味がわからない。なんでそんなエグい雑炊を作ってるんだ?釜は何を表しているんだ?キリスト教の素養がないからわからないのだろう。やっぱり野口氏の仰る通り、聖書を知らないと文学作品を理解できないのだろう。『マクベス』を読んで学んだ最大のことは、素養は大事、ということである。理学だけでなく、文学や哲学なども親しむよう心がけようと思ったら一冊だった。
(800文字)

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基礎教養部

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