鈍感な世界に生きる 敏感な人たち

『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』イルセ・サン(著)枇谷玲子(翻訳)

書評
執筆責任者:Yujin
この本は, HSP(Highly Sensitive Person: とても敏感な人)に向けて書かれたもので, HSPの気質を紹介したり, より良い生き方を教示してくれるものだ. HSPとは病気ではなく, 生まれつき人より敏感さを持った人々を分類する言葉である. 著者のイルセ・サンは, 自身もHSPでありながら, デンマークで多くのHSPの人々と対話をしてきた心理療法士だ. そんなHSPについて知り尽くした彼女が執筆した本書は, HSPについて知るための入門書と評され, 世界24言語に翻訳されている名著である. 私はHSPではないが, ここ最近関わりのある人たちにHSPの人が複数人いることを知り, 興味を持って本書を手に取った次第である. 前述の通り, 本書はHSPの人を対象に書かれたものであり, 多くの読者もHSPであるようだ. 全部で4章から成るが, 第1章, 第2章はHSPの性質を述べ, 第3章, 第4章ではHSPの人がうまく生きるための方法が述べられている. 従って, 私のようにHSPではなく, HSPとは何か, HSPの人とどう付き合うかを学ぶために読む人にとっては, 主に前半部分が役に立つと思われる. しかし, この本の内容の信憑性については正直わからない. 自分自身がHSPではないため, 本書の内容がどの程度当てはまっているかも判断がつかないし, そもそもHSPに明確な定義があるわけではない(本書には診断用チェックリストが付いている). 一応読了した私が周囲のHSPを称する人を見るに, HSPは完璧主義であったり, 負の感情をうまく放出できない, といった性質は確かに当てはまっている気がする. しかし, 人一倍鈍感な私の判断能力は取るに足らぬものだし, 著者もHSPは人それぞれと述べているので, あくまでも傾向を掴むための参考書的な取り扱いをするべきだろう.
(799文字)

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