すべてはモテるためである

『すべてはモテるためである』二村ヒトシ(著)

書評
執筆責任者:Takuma Kogawa
『なぜモテないかというと、それは、あなたがキモチワルイからでしょう。』モテなくて悩んでいる諸氏の中に、「モテ術」のような本を読んで実践して失敗して…という負のスパイラルに陥ってしまう人がいると思われる。本に書かれていることがアドバイスとして正解であったとしても、目の前の相手に適応できるものかを考えずに実践したならば、当然失敗する。「私を口説きたいのではなく、ただ彼女が欲しいだけなのだな」と相手にも見抜かれる。本書はこういったモテない人、特に男性をターゲットにしたものである。そもそも自分にとってモテるとはどういう状態なのか、なぜモテたいと思うか考えたことがあるだろうか。モテるという言葉は、暗に(異性から)という意味が含まれるが、相手の性別にかかわらず自分が人間として受け入れられなければモテるはずがない。相手と同じ土俵に乗る、言い換えれば相手と自分の関係についてきちんと考えることがモテるための土台となる。考え方はすぐに変えることができても、外見や体質はなかなか変えられない。そういったコンプレックスとどう付き合っていくかを真剣に考えたのちにどうしても変えたいという強い意志があれば治療をするべきであるし、そのままの自分を受け入れるのも立派な解答である。もしかすると「オタクはモテない」と考えている人がいるかもしれないが、それは誤りであると筆者は述べている。相手と同じ土俵に乗ることがうまくできず、そこから逃げて自分が興味のある領域に逃げ込んでいるだけではないか?そこに居場所を作ったのは消極的な理由からではないか?逃げ込んだあげく、主人公の男性に都合の良い美少女から惚れられてキャッキャウフフする作品をみて「自分はこのままでもいいんだ」という幻想に心からハマっている人は、本当はモテなくてもいいと思っているのではないか?この本を読んで作者からの鋭い刃を受けながらモテるために努力しよう。
(797文字)

追加記事 -note-

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

ジェイラボ
基礎教養部

コメント

コメントする

目次