最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―

『最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―』アンデシュ・ハンセン(著) 久山葉子(翻訳)

書評
執筆責任者:Hikaru
本書は『スマホ脳』で一躍時の人となったスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンが、同書内でも軽く触れていた「運動による脳の強化」をテーマに徹底的に脳と運動の関係について示し運動の利点を語ったものであり、スウェーデンにおいて10万人以上の生徒に配られた、多くの人に影響を与えてきた本である。本書の特徴は『スマホ脳』と同様に斬新な生物学的進化論を根拠としている点にある。人間の脳は現代ではなく原始時代に適応していて、その多くは生存本能に従っている、というものである。本書では運動による利点として「より幸せになる」「よりストレスに強くなる」「より集中力、発想力、記憶力が良くなる」などを挙げているが、それらはそれぞれに影響するドーパミン、エンドルフィン、扁桃腺、海馬、前頭葉などが運動によって効果的に作用するようになることを前述の生物学的進化論の観点から論理的に説明をしていて、それが読者へ実際に行動させるに足る納得感を生み出している。また本書では運動の種類の如何は問わずに何よりも今より運動の量を増やして継続することが大事だとし、具体的な実践方法を多数挙げていることもそれに寄与している。「週に2、3回、30分程度の脈拍の上がる運動をする」というのが目安である。本書の趣旨は一貫して「読者に運動の大切さを理解させ、実践させる」ことであるから、日々暗い気持ちで過ごしていたり運動をしようと思っても行動に移せない人がその状況を脱しようとする際に役立つだろう。また本書は同著者の『一流の頭脳』のジュニア版との位置付けであり、表現が優しかったり冗長な部分もあるので、大人の方は『一流の頭脳』を読むと良いと思う。またスマホ依存の話も出てくるが具体的な対処法は明記されていないので、『スマホ脳』も併せて読むと理解が深まる。本書に書かれていることを実践すれば人生が変わる、それも夢物語ではない。
(789文字)

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基礎教養部

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