『戦争論』入門 クラウゼヴィッツに学ぶ戦略・戦術・兵站

『『戦争論』入門 クラウゼヴィッツに学ぶ戦略・戦術・兵站』清水多吉(著)

書評
執筆責任者:Yujin Yonehara
かのナポレオンと時代を共にし、革命後のフランスと幾度も戦争を繰り広げたプロイセン王国に、クラウゼヴィッツという軍人がいた。彼が属するプロイセンは、革命を経て近代化したフランス軍に、敗戦に次ぐ敗戦を重ねていた。渦中でフランス軍に捕われ捕虜となった彼は、敵国内でフランスの近代的文物について知り、自国プロイセンの後進性を痛感した。そうしてクラウゼヴィッツは、フランスに対して、敵国としての怨念と、手本とすべき近代国家としての畏敬の念を抱きながら、『戦争論』を執筆した。従って『戦争論』のテーマの一つとして、「絶対王政下と近代国家の軍制の対比」がある。これまでにも戦争に関する書物は多く出版されているが、清水多吉曰く、『戦争論』は「より戦争の本質に迫ったもの」であるという。その理由の一つは「敗者の目線」である。近代化のための軍政改革を唱えつつも叶わぬまま、大敗。その無念を糧に記した理論には、比類なき詳らかさがある。もう一つの理由は「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」という新たな考え方を導入したことである。「どう戦うか」ではなく、そもそも「戦争とは何か」から端を発した理論は、『戦争論』が初めてである。政治的目的を達成するために、如何に(暴)力を行使するか。これが基軸となっているのだ。そして今回紹介する『『戦争論』入門』。著者と3人の学生による対談形式となっている。戦史に精通している清水先生が、古代から現代までのあらゆる戦争と『戦争論』を比較する。そして、平和な時代に生まれ育った学生が、現在の目線で『戦争論』に意見する。『戦争論』を通して現在の学生に戦争・政治について学んで欲しいという、清水先生の考え方がよく顕れている。原著は訳の困難さもあり読みにくいとされているが、この入門書は原著の要所を掻い摘んだ解説をされている。『戦争論』を読む前に、一度入門を読んでみて欲しい。
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