個人と企業のための対国家機関レベルデータ保護入門

『個人と企業のための対国家機関レベルデータ保護入門』ギャウロフ美花(著)

書評
執筆責任者:ingen
空想科学読本は読んだことがあるだろうか。空想科学読本は漫画やアニメ、ゲームの世界を科学的に検証しよう、という趣旨の本で、小中学生から人気のシリーズだ。空想科学読本では例えばウルトラマンのスペシウム光線について物理や化学の法則を当てはめて実現可能か検証する。今回私が紹介する「個人と企業のための対国家機関レベルデータ保護入門」は情報系の「空想科学読本」と言えるような本だ。パソコンのセキュリティについての役立つ情報を少々現実離れしたスパイ映画さながらの状況を想定して解説していく。書いてあるテクニックは誰でもパソコンさえ持っていれば検証可能なものばかりなので、セキュリティについて興味を持たれている社会人の方にももしかしたらハマるかもしれない。ここからは皆さんにより意識を高めてもらうために本書に紹介されている話をいくつか紹介したい。まず、店舗のfreewifiを装って通信内容を抜き取るという定番の話だ。LOSOM_FREE_WIFIなんていう名前のwifiには間違ってもつないではいけない。また、パソコンの画面を目視で盗み見られるという話もある。意外と盲点だがこのような場合でも、対策はある。他には、HDD(ハードディスク)を売るときなどに注意しなくてはいけないことがある。HDDはファイルをゴミ箱に捨て、その上でゴミ箱を空にしてもデータ本体が消えるわけではない。HDDは「データ本体」と「データの場所を表す目次」を別々の場所に保持している。ファイルを削除するとは、目次からファイルを取り除いているだけであり、データ本体を削除しているのではないのだ。もしデータ本体を消したいなら、専用のツールを使わなくてはいけない。そうしなければ、HDDが他人の手に渡ったとき、データ本体を覗き見られてしまう可能性がある。本書はこのような話がいくつも収録されている。興味を持った方には一読してもらいたい。
(718文字)

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