天才を殺す凡人

『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩むすべての人へ』北野唯我(著)

書評
執筆責任者:Yujin Yonehara
タイトルにインパクトのあるこの本は, 北野唯我氏の2作目の著書である. 氏は大学の経営学部を卒業後, 博報堂の経営企画局や経理財務局で勤務し, ボストンコンサルティンググループを経て, 現在はワンキャリアの取締役を務めている. そんな経歴を持つ氏が自身の経験をもとに、「天才」はなぜ(物理的、精神的に)殺されることがあるのか、あるいは「天才」をどう評価し、どう支えるのかを著したのがこの著書である. この本の前身として, 18年にネット配信された氏のコラム「凡人が、天才を殺すことがある理由。–どう社会から「天才」を守るか?」がある. このコラムが30万PVというビジネスコラムとしては異例の数字を叩き出し, 書籍化されたというわけである. このコラムを書くことになった氏の動機も掲載されているので是非読んで頂きたい. 書籍化されるにあたって, 氏はこのコラムの内容をストーリー仕立てにしている. 登場人物は, ある企業で働く「凡人」の主人公と, 「天才」の社長, そして社長候補の「秀才」の三人である. 特にこの本では「天才」を最もよく支える「凡人」についての立ち回りを, 職場を例にして述べており, まさに「職場の人間関係に悩む」人々に向けた本である. しかしこの内容は職場の人間関係のみにとどまらない. この本では, 「天才」が担う社会的役割と, その役割を果たすために「天才」が求めていること, そのような一般の「天才」が持つ性質について言及されている. そういう意味では, 「天才」そのものに興味を持つ者にとっても得るのもがある作品となっている. また, 巻末にはコラムに寄せられた読者の意見が掲載されている. 著者からの視点だけでなく多くの読者からの視点もまとめることで, 一冊90分程度で読める本でありながら, 多角的な見方ができる本でもある. 興味のある方は一度読んでみて欲しい.
(799文字)

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