フェルマーの最終定理

『苦役列車』サイモン・シン(著), 青木薫(翻訳)

書評
執筆責任者:イスツクエ
今回紹介する本は、サイモン・シン氏の「フェルマーの最終定理」である。「フェルマーの最終定理」という言葉自体はどこかで聞いたことがある人も多いのでないだろうか。数学者ピエール・ド・フェルマーが、「私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。」と書き残し、それから数多くの数学者がこの定理(予想)の証明に挑んだ。そして、360年かかった末に数学者アンドリュー・ワイルズによって証明される。中学生でも理解できる内容、有名な台詞、そして数百年間未解決であったということなどから広く知られた定理である。この本では、そのフェルマーの最終定理が証明される軌跡を辿りながら、それに関連する数学の話が紹介されていく。中学で習う定理の1つにピタゴラスの定理がある。「直角三角形において、斜辺の二乗は他の二辺の二乗の和に等しい。」というものである。これはピタゴラスが発見したと言われているがこの事実をピタゴラスより千年も前に中国人やバビロニア人は利用していたのである。ピタゴラスが発見者だと言われているのは、この定理が「すべての直角三角形に対して成り立つ」ことを示したからである。「すべて」のものに対して成り立つことを示せたのは、数学的証明を用いたからである。この本では、このような数学の定理や問題を数式を用いたりして紹介することと、数学者がどのように取り組んだのか、どのようなエピソードがあったのかという数学の歴史が織り交ぜながら進んでいく。フェルマーの最終定理の内容自体に深く入り込むわけではないので、高度な数学知識を持っていくても楽しめるものとなっている。皆さんもぜひ読んでみてはどうだろうか。
(701文字)

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